PC-6001の実機を使っていると、画面が縦長だなーと思うことがあります。このへん、ちゃんと確認していなかったのでキャプチャしてみました。
まずはキャプチャ機器の確認をするための参考画像を用意します。
この画像を使って、DVD VIDEOを作成しました。DVD VIDEOは映像が720x480で収録されていて、更に4:3映像は704×480に収まるという仕組みに なっていて、その構造がキャプチャ時にどう影響するのか確認してみました。キャプチャ方法は、お手軽なUSB機器にDVD PLAYERをコンポジットビデオで接続します。 結果はというと...
特におかしな事はなく、同じサイズの映像になりました。格子は正方形で、円は正円です。画像同士を半透明で重ね合わせても同じです。キャプチャ画像では縦線がにじんでいますが、 DVD VIDEO化した際の圧縮の影響か、コンポジット出力のズレだと思います。そもそも1Pixelのラインを表示させるという時点で無茶なんですね。まぁとにかく、キャプチャした画像を あれこれと調整する必要はないということがわかりました。
初代機で正方形を描画した状態をキャプチャしてみました。
SCREEN MODE3での表示と、
モード指定とカラー番号を書き換えてSCREEN MODE4での表示です。
LINE(...),BF命令で縦横80ドットの正方形を描いたつもりなのですが、実際の表示は縦長にみえるような気がするので、画像ソフトでサイズを測ってみました。
黄色地に青という色の組み合わせがよくなかったのか、エッジ部分の色が曖昧で縦線の境目がはっきりしませんが、まず、表示領域全体のサイズが438×384になっているのがわかります。 PC-6001の座標指定は256×192までですが、コンポジットでは表示領域が倍(面積で4倍)に広がります。ですので、438×384というキャプチャ画像のサイズをPC-6001の 表示領域サイズに換算する(半分にする)と、219×192になります。縦方向のサイズは描画サイズ同じで、これは走査線本数自体には変化がないということです。問題は横方向で、256と219では キャプチャ誤差というレベルを越えた違いがあります。比率を求めると、横方向は0.855倍くらいに縮小されていることになります。
ただ、青い正方形の表示上の幅は142なのです。描画指定は160で、その0.855倍は136~137くらいになるはずなので、ちょっと差があります。
続いて、SCREEN MODE4でも同じように調べてみました。
結果はなぜか正方形が縦方向にちょっと広がっていますが、似た色同士で境目がはっきりしないので、縦は160で表示されていると思います。問題は横方向で、やはり縮まっているようです。
ここまでの結論としては、PC-6001のビデオ出力は「縦方向に広がるのではなく、横方向に縮まる」ということです。
もう少し大きな正方形を描いたのがこちら。
ここまできたらせっかくなので、画面出力のキャプチャだけでなく、デジタルオシロで映像信号を調べてみました。 最初は、一画面分の信号です。
点線から点線のあいだが一画面分の映像信号です。 左右の時間方向を縮小しているのでわかりにくのですが、最上段、最下段というのは描画できない領域です。中央のあたりというのがLINE(...),BFで 描いた四角です。この四角を挟むように左右に描画できない領域と、背景として置いてあるPC-6001の描画領域全体があります。 波形を拡大すると、1ライン単位で信号をみることができて、ラインの本数を目で数えることができるのですが、最上段領域は26LINE、上の方の余白は32LINEでした。 BASICのLINE命令がY座標を32から描画しているので上部には32ライン分のスキマがあるということが信号からも読み取れるのです。中央部分は192ラインあるはずですが、 面倒なので数えていません。
ちょっと強引ですが、1画面分の信号を時計回りに90度回転させて、余白を含めた表示領域全体を480ドットにリサイズすると、キャプチャ画面と重ね合わせることができます。
波形信号の境目がわかりにくので誤差はありますが(上下は61LINEではなく64LINEのはずから)、だいたいはあってるんじゃないでしょうか。
続いて1ライン分の波形です。
LINE()命令で描画した四角があるところの1ライン分の映像信号です。どのあたりなのかは、この信号からはわからないですが、128ラインのうちのどれかです。 点線から点線のあいだがPC-6001が表示される領域の信号に該当します。左から、左の余白(書き込み不可)、四角の左余白、LINEで描いた四角、四角の右余白、右余白(書き込み不可) の5つの領域になっています。これも表示エリアを切り出して640ドットにリサイズすると画面に一致します。
では、PC-6001mkIIの実機ではどうなんだろう、ということで調べてみました。BASIC MODE1(初代機モード)でSCREEN MODE1とSCREEN MODE3とSCREEN MODE4です。
同様にドット数を測ってみたのがこちらです。SCREEN MODE3と4は同じ表示サイズになったので、SCREEN MODE3のみで。
初代機同様に、左右方向に縮まっているようです。
ところで、PC-6001mkIIの画面をみると、全体的に上に寄ってる事に気がつくと思いますが、 これは、同期信号によるもので、詳しくは別の調査記事をどうぞ。 また、初代機の出力をキャプチャした画像もよくみると少し上に寄っているようです。以前、初代機の映像出力色を調べた時にも気がついたのですが、その時はキャプチャ機器の特性かと 思っていました。最初に提示したDVD VIDEOのキャプチャの通り、キャプチャ機器が原因で上下にズレるということは無いようなので、PC-6001初代機も表示位置が上下方向にずれているようです。
せっかくなので、PC-6001mkIIのBASIC MODE5でも調べてみましょう。
ドット数を測った結果はこちら。
やはり、横方向に縮まっているようです。
8ドット間隔で縦線を描いてみました。
画像を拡大してラインの間隔を測ってみると、13~15ドットくらいでばらついているみたいですが16ドットはありません。このキャプチャ画像では色信号が乗らなかったので白黒ですが、 キャプチャのタイミングによってはPC-6001らしい色ズレが発生します。
今度は2ドット間隔で縦線を描いてみました。
さらに3ドット間隔で縦線を描いてみました。
色ズレは縦横比率だけではなくNTSC信号処理の方法や、デジタルキャプチャの制限といった話も 絡んでくるので込み入った話になってきます。
PC-6001初代機で表示されるSCREEN MODE4の黒って、なんだかボンヤリと明るいのです。PC-6001に搭載されているVDGのMC6847が海外仕様で 黒レベルが7.5IREになっているのだと思います。日本のテレビでは0IREが基準なので、7.5%だけ黒が明るくなっているのではないかなと。(MC6847は日本向けの製品もあるはずなのですが)
波形をみるとこんな感じです。
黒の基準よりも高い位置で黒い画面の映像信号が出ていました。ちなみにPC-6001mkIIでも同様に黒がちょっとだけ浮いていましたが、 キャプチャ画面の黒い部分を見比べてもらうとわかるように、PC-6001よりかは抑えめです。